途上国ライフ

図工と体育と、ときどき英語。元公立中学校教諭、現途上国の小学校の先生。

【出張ワークショップ】体育の種まき・ブータンで「ありがとう」が聞こえる心地よさ

1週間にわたる、出張体育プログラムが終了しました。

対象はモンク(お坊さんの卵の男の子たち)100人超。

 

行ったことのない場所に行くことが好きな私は、

今回の出張でまた新しい場所に行ける、というだけでわくわくしていました。

 

6月に「体育をしに来てほしい」と私にお声がかかり、

せっかくなら一人より二人で行って、もっとよりよいものにしたいと

すこ~しずつ、すこ~しずつ前に進めてきたプログラム。

私にとっては、この国に来てから

初めて自分が動かしたプログラムでした。

行くからには、モンクたちの記憶に何か残したいと思い、

最終日には日本流の運動会を行う計画をたてました。

 

一緒について来てくれ、専門知識がない私をたくさん助けてくれた

同期隊員にはとっても感謝しています。

お互いに補いあいながら、アイディアを出しあいながら、

「二人で来てよかったね」「二人じゃなくちゃできなかったね」

と言い、毎晩「今日もありがとう、おやすみ」と言って寝てました。笑

 

 

プログラムの中身は

 

7:00~ 朝食

8:30~ 準備運動・マラソン

9:00~ モーニングティー

9:30~ 1コマ目 全体への指導

   (エンカウンター、体力テスト、リレーアクティビティ、長縄、

    ドッヂボール、筋トレ、ストレッチなどその日によって異なる内容を準備)

11:30~ 昼食

13:00~ 2コマ目 全体への指導②

    (日本のソーラン節の練習)

14:00~ 3コマ目 運動会に向けた学年グループごとの種目別練習

    (借り物競争、二人三脚、サイコロリレー、ピンポン玉運び、飴食い競争、リレー)

15:00~ アフタヌーンティー

15:30~ オプショナルクラス

    (同期隊員はバレーボールクラス、私は折り紙クラスで希望に合わせて実施)

 

 

という感じで、6日間行い、最終日の午前中を運動会にあてました。

ティータイムがたくさんあるのがこの国流ですが、

マラソンで坂道を駆け上がったあとのホットミルクティーは

さすがに暑くて飲むのがきつかったです。笑

これも文化ですね。

 

 

・マラソン

f:id:cradle111:20191203183951j:plain

 

・体力テスト(これは立ち幅とび)

f:id:cradle111:20191203180336j:plain

 

・筋トレ

f:id:cradle111:20191203180538j:plain

 

・長縄

f:id:cradle111:20191203180910j:plain

 

・ソーラン節

f:id:cradle111:20191203181224j:plain

 

・いろんな種類のリレー

f:id:cradle111:20191203181457j:plain

f:id:cradle111:20191203184126j:plain

f:id:cradle111:20191203190126j:image

 

・運動会

f:id:cradle111:20191203183749j:plain

f:id:cradle111:20191203185721j:image

f:id:cradle111:20191203183430j:plain

f:id:cradle111:20191203184614j:plain

 

・オプショナル折り紙クラス

f:id:cradle111:20191203181654j:plain

 

 

 

 

 

このプログラムを通して私たち二人が目標とした体育は、

 

・全員参加であること

・勝ち負けよりもチームワーク、周りの人との協力が大切だということ

・みんなで物事を成し遂げたときの達成感

・互いのリスペクト

 

でした。

終わってみると、これらの姿勢を子どもたちに見せ、

伝えることはできたかな、と感じています。

 

それぞれの種目練習をするたびに、

「一部の人でボールを回さずに、みんなにパスしててよかったよ!」

「すごい!チームメイトの応援していて感動したよ!」

「転んだ子のフォローがうまかったね!」

「飛ぶ人のことを考えて縄を回せていてよかったよ!」

などなど、褒め褒めシャワーをしたら、

みるみる様子が変わっていきました。

 

最終日の運動会では、紅組と白組に分けましたが

紅組が先にゴールをしたら、紅組のみんなは敵であるはずの

白組を励まし、応援していました。

f:id:cradle111:20191203181922j:plain

その様子を見たときの感動と言ったら。。。

 

 

ここに来てから、大人が子どもを棒でたたいたり、

子どもたちが物を取り合ったり、

スポーツトーナメントがあっても運動が得意なごく一部の子しか

参加していなかったりと、

そんな状況をたくさん見てきましたが、

この出張ではまったく見ませんでした。

生徒の年齢は下は8歳から、上は30歳を超えていましたが、

みんなが助け合って生活していたし、

先生と生徒の関係がとっても温かかったのです。

様子を見ているだけで、お互いの間に深い信頼関係があるのがわかりました。

まるで学校全体がひとつの家族のようでした。

f:id:cradle111:20191203182330j:plain

 ↑手作りのメダルをかけてくれています!

モンクの子どもたちがかわいくてかわいくて。

 

 

そして、授業の最初には「こんにちは」、最後には「ありがとう」のあいさつを

全体でするようにし、頭をさげるという日本流のあいさつの仕方も伝えました。

f:id:cradle111:20191203182546j:plain

効果はてきめんで、「こんにちは」と「ありがとう」が

学校中に溢れていました。

「ありがとう」がたくさん聞こえるって、すっごく、すっごくいいな。

 

 

 休憩時間に私たちが伝えた筋トレや8の字跳びを

自分たちで練習しているのを見たときには、

種まきができたな、と実感しました。

 

 

あらためて、私の仕事は、種をまくこと

 

 

1月にここに来て、最初は何もできず、何もうまくいかなかったけれど

9月ごろからそう思えるようになりました。

何もないところに、図工と体育の種をまく、

いいなと思ったら、きっとだれかが後を継いでやってくれる。

私は期間限定でここにいるだけなのだから、

できるかぎりの種をまいて、これからもきっかけづくりをしていきたいです。

 

来年もまた、呼んでもらえるといいな。

モンクの子どもたちが「昔やった運動会、楽しかったな」と

大人になってから覚えていてくれたらいいな。

f:id:cradle111:20191203185019j:plain

モンクの子どもたち、先生、心温まるサポートをありがとうございました。

 

 

そして記事を読んでくれたみなさま、ありがとうございます!